【400Xのある暮らし】3.納車当日
納車当日の朝、遮光性の低いカーテン越しの明るさから天気が良いのはわかった。
いつも会社に行く時間の7時に目が覚めた。
目が覚めた瞬間、思い出した。
゛今日は、400Xの納車日゛
ワクワクする。とは言え、昨日の夜は、遠足を控える小学生のように眠れないということもなく、良く寝れた。
それでも、納車日というのは、何歳になってもうれしい特別な日だ。
レッドバロン10時が開店と言っていたので、10時に行けばいいのだが、11時到着目標とし、PCXとお別れなので、シート下収納などの整理と、ねぎらいのために最後の洗車をし始めた。
10時に行ったりしたら、納車が楽しみで早く来たと、店員に思われるのも、ちょっと恥ずかしかったし、開店直後は少し忙しいのではないか?という心配があったからだ。
シート下収納の中に入っていたモノ(予備のグローブ、タオル、ワックスとか)を取り出した。まぁ、いろいろと入れっぱなしにしていた。
ETCカードも忘れずに取り出しておかないといけない。シート下収納もワックスがけし、きれいにする。
400Xには当然ながらシート下収納というものがない。これが不便なところ。
“不便なところ。”というより、バイクというものはそういうもので、スクーターが便利すぎるのだろう。
シート下収納は、本当に便利。
今のところ挑戦する予定はないが、大型免許を持っていたら、NC750Xを買っていたと思う。NC750Xはヘルメット収納があって、とても便利そうだ。
レッドバロンへの道すがら、PCXの相変わらずの乗り易さと小回りの良さを感じる。
400Xじゃ、こんなスイスイ、クルクル曲がることはできないんだろうと思いながら走っていた。
走っていると、やっぱりPCXで良いような気もしてきた。
速くはないが、思い通りに運転できて、安全。燃費も良い。どこまでも無理を聞いてくれて走ってくれる。
そんな便利で、一緒にいろいろなところに行ったPCXとも今日でお別れ。
自分は、ものすごい散財をしているんじゃないかと、後悔の念すら抱いた。
実は、後悔の中には、マニュアルのバイクに乗るのは、なんと35年ぶりということもあり、エンストしまくるんじゃないか?とか、エンストするだけじゃなく、バイクの重さに耐えられなくなって立ちゴケしないか?とか、車体が大きくなったので、うまく止まったり、曲がったりできないんじゃないか?とか、PCXのくせで、リアブレーキ使いたいときに、クラッチレバー握らないか?などの不安も含まれていた。
要は、歳をとって、バイクの運転が下手になっていないか?ということだ。
そんな不安と400Xに会える喜びを抱えながら、PCXと最後の走りを数十分楽しみ、レッドバロンに到着した。
PCXとの本当のラストランが終わった。
納車の日。嬉しさと寂しさが交錯する日。
つづく